2015年12月25日金曜日

市議会レポート⑭

12月議会最終日となる総括審議において、議案・第10号「八千代市知的障害者通所施設の設置及び管理に関する条例を廃止する条例の制定 」について討論を行いました。長くなりますが重要なので全発言を掲載します。

また、12月議会での議案、発議案、請願の議員別賛否一覧も転載します。見にくい場合は拡大していただくか市議会ホームページをご覧ください。

秋葉市政の福祉切り捨て政策を徹底的に批判しました(ネット中継)
三田 登・討論
議案・第10号「八千代市知的障害者通所施設の設置及び管理に関する条例を廃止する条例の制定 」について、議案に反対の立場で討論を行います。

福祉作業所の建て替え問題は、今から10年前に、古く、狭く、不衛生な第1福祉作業所の建て替えについて市と保護者、手をつなぐ親の会が公設民営を前提にした話し合いが進められ、その結果、前期・第4次総合計画に「福祉作業所の整備事業」が組み込まれ、平成27年度には完成の予定でした。

その計画に沿って、福祉作業所の建て替えに向けた、具体的な作業として、市内の3つの社会福祉法人、保護者、手をつなぐ親の会、其々の代表、そして、行政及び建設関係者からなる「福祉作業所あり方検討委員会」が発足し、平成23年3月に「公立施設として、民間事業者では困難な事業を担う」という大前提で、新しい施設のあり方が提言されました。

そして、市が土地を購入し、保護者、障害者支援課、設計者が協力して、約1千万円の経費と半年の時間をかけて基本設計を完成し、ようやく保護者も10年来の念願が叶うと思っていた矢先に突然、秋葉市長は平成26年9月2日の「諸般の行政報告」で、福祉作業所を民設民営で整備すると発表しました。今回の一連の問題は、そのことに端を発しているわけです。

市は、その理由として、平成26年7月31日に開催した「八千代市障害者健康福祉推進連絡会議」の会議録で、ある社会福祉法人が「福祉施設は指定管理者制度には不向きである」「土地があれば民設民営で出来る」と言った事を挙げております。

民設民営では、事業者の都合で、問題行動があり、或いは手のかかる重度障害者の入所を拒否し、退所させることが出来ます。実際、福祉作業所の利用者が、民間施設に短期入所を希望しても面接によって拒否されたケースが幾つかあります。

この件は、複数の市民が、先日、民設民営で入所を拒否された場合の対応はどうするのか。と市側にただしたところ、今から約3週間前の12月4日付けの秋葉市長名の書面で、民設民営では利用者の状況によっては、入所を断られる事もある。と明確に回答しています。

ちなみに近隣自治体を見回しても、同種の市営施設がない自治体はありません。それは、障害者福祉行政の責務を果たす当然の結果です。八千代市は、行政が管理・運営する福祉作業所を有しない唯一の近隣自治体となるわけです。これは恥ずべきことではないでしょうか。そして、法的にも問題があります。

保護者、関係者そして議会との協議もなく、秋葉市長が決定した突然の民設民営化への方針変更について、市側は「地方自治法・第149条における普通地方公共団体の長の権限」を根拠にしていますが、そこでは、地方自治体の長の「公の施設の設置、管理、廃止する権限」を定めているに過ぎず、施設を民営化できる権限を定めている訳ではなく、市側が御都合主義的な拡大解釈をしているにすぎません。

補助金についても、来年1月から開始予定の民間事業者募集要項に、議会の議決を経ていない建設補助金を記載することは、手続き上、大いに問題があります。

地方自治法・第211条1項により、市長は補助金を含む毎年度会計予算を議会に提出し、議会は同法第96条2項により、予算を議決する権限があります。

したがって、補助金を含む予算の議決は、来年3月議会でなされなければならないはずです。すなわち、補助金の交付決定は、先に議会の議決が必要と言うことであります。

また地方自治法第・232条2項で、公益上必要がある場合に於いては補助又は寄付を出来るとしていますが、行政実例では、公益性を認定するのは、市長及び議会としているという重要な点も指摘しておきます。

そういう意味で、様々な問題点があり、かつ、議会で今回の補助金の公益性を審議、議決をしていないにもかかわらず、一方的に募集要項に謳い、公募を行おうとしているのです。

この他にも様々な問題点があるにもかかわらず、市側は今議会で「八千代市知的障害者通所施設の設置及び管理に関する条例」を廃止しようとしています。今ある第1、第2、第3福祉作業所は昭和58年に制定された、この条例によって存在を法的に担保されてきたわけですが、廃止されるとなると存在意義を失うので、わざわざ施行日を2年以上も先の平成30年4月としています。なんとも奇妙な条例です。           

理由としては、米本にある第1、第2福祉作業所とは別に、高津にある、まだ建て替えが不要な第3福祉作業所の建物を公募落札事業者に譲与、つまり、ただであげるために今議会で条例を廃止し、附則で譲与を合法化させる必要があったわけです。土地も全て無償貸与です。

しかし、福祉作業所民設民営化問題は、まだ議会で議論されているところです。条例廃止は、さらに議論が尽くされてからでも間に合う性質のものです。

そして、第三福祉作業所は、この条例が制定されれば、平成30年4月から、行政財産から普通財産になります。平成23年1月の最高裁の判例では「普通財産の無償譲渡は、寄付または補助」に当たるとし、公益上必要な要件を満たすことを求めています。

また、地方公共団体が行う寄付または補助は、反対給付を求めずに行う財政援助であり、最終的には住民の負担に帰することから、法は、これにより特定のものを利するのではなく、住民全体の利益に資するよう行うことを必要としています。したがって、最高裁の判例にのっとり、第三福祉作業所の譲与が公益上必要の要件を満たすかどうか、市長及び議会の審議、議決が必須条件であります。

そして、最も強調したいことは、今回の民設民営化は秋葉市長が推し進めようとしている「財政リスク回避戦略」の中核を担う、公共施設の廃止または統廃合を目的とする「公共施設等総合管理計画」(アクションプラン)の一環として位置付けているということです。

すなわち、秋葉市長は、「財政回避戦略」遂行のために、真っ先に障害者福祉を切り捨て対象としたということであります。

その結果として、障害者の砦である作業所を民間に投げてしまうという、許しがたい福祉の切り捨てと、行政の責任放棄をしようとしています。

皆さん。あらためて強調しておきたいと思います。福祉作業所の民営移行に伴う施行日が、平成30年4月であるのにもかかわらず、今議会で10号議案が上程されたのは、今の設置・管理条例を早々と廃止して、議会の議論封じ込めを目的とするものであります。

これは秋葉市政に多々見られる議会軽視が、またもや反映されたものであり、到底、承服できるものではありません。

以上、法令違反の可能性と、福祉切り捨て、さらには秋葉市長の議会軽視に反対する立場から、議員の皆様に本議案の否決を強く訴えて、討論とします。

12月議会・議員別賛否一覧
 



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