2022年12月7日水曜日

市議会レポート(58)

11月議会で3つの討論を行いました

既報のとおり、11月八千代市議会が閉会しましたが、一般質問の他、議案第17号「八千代市個人情報保護法施行条例の制定について」。18号「八千代市情報公開・個人情報保護審査会条例の制定について」に反対討論。

また、「八千代医療センターの新規患者受け入れ再開を求める請願」について賛成討論を行いました。とりわけ、八千代医療センター問題については多くの議員が問題解決を訴えていたにもかかわらず、不採択になったことは理解できません。まさに市民への裏切りです。

遅くなりましたが、以下、私の討論を掲載いたします。

●議案第17号、18号反対討論

議案第17号「八千代市個人情報保護法施行条例の制定について」並びに議案第18号「八千代市情報公開・個人情報保護審査会条例の制定について」は、いずれも国の個人情報保護法改定に伴うものであることから、一括して反対の立場で討論を行います。

まず、個人情報保護法は、2003年に個人情報保護法が成立。そして2015年に法改定。そして2020年の法改定に基づき、3年年ごとの見直し規定により、2022年の法改定にいたるわけですが、そもそも個人情報とは何か。

個人情報とは、任意の一人の個人に関する情報であり、かつその情報に含まれる記述等によって特定の個人を識別できるものを意味します。

したがって、国にせよ、行政にせよ、企業にせよ、個人が有する情報は守られなければなりません。ましてや、今日のデジタル社会においてはなおさらであります。

法改定の背景には行政のデジタル化があります。そして、今回の改定の特徴である個人情報保護制度の統一化・平準化には大きな危険性がはらんでいます。

日弁連は反対声明を出して「憲法13条が保障し、個人情報保護法及び自治体の個人情報保護条例によって構築されてきた国民のプライバシー権を脅かす危険極まりない内容である」と批判しています。

さらに日弁連は、行政機関個人情報保護法は国家が保有する個人情報のみを対象とし、地方公共団体の有する個人情報は個人情報保護条例によって保護される。先進的な自治体による個人情報保護の在り方に遅れて法整備を行った国が、条例を廃止して一元的に規制することは適切ではないとも指摘しています。

結局のところ、個人情報保護制度の在り方の統一化・平準化は、各自治体における個人情報保護を緩和することを狙いとするものと考えられ、しかも、データ流出の危険性にたえずさらされており、個人情報保護法の「個人の権利・利益の保護」と「個人情報の有用性」のバランスを図るための法律という本来の目的とは逆行するものであります。

この間のデジタル庁法案、マイナンバー改正法、IT基本法改正法など、一連の動向は、本来は国民個々が所有する個人情報を国が管理・統制することを目的とするのであり、とりわけ、そのためのマイナンバーがあの手この手をつくしても普及しないことで、岸田政権はついに健康保険証と抱き合わせする方針を示しています。本来、マイナンバーの選択は本人の自由意志だったはずであります。

1970年に行政庁が国民各個人にコード番号を付し、行政の合理化と能率化を図ろうとした国民総背番号制は国民のプライバシーを侵害するとして頓挫したことを踏まえて、今日、マイナンバーという看板に変え、国民のもつ個人情報を国や行政が管理・統制しようとするシステムは国民の日常生活と個人情報を侵害する可能性があるものであり、容認することはできません。

今回の個人情報保護法の改定にともなう施行条例の制定と審査会条例の制定案は法改定のもつ問題をあいまいにしたまま条例化するものであり、承服できません。

八千代市においても、八千代市議会においても、いかにお上からのお達しだからといって、問題のある法改定を無批判に受け入れるのであれば、地方行政や地方議会の独立性が損なわれてしまうということを、私たちは自覚するべきではないでしょうか。あらためて、議場の皆さんに議案反対の決をとることを訴えて反対討論といたします。

●八千代医療センターの新規患者受け入れ再開を求める請願・賛成討論

請願第11号、「八千代医療センターの新規患者受け入れ再開を求める件」について、委員長報告では不採択でしたが、請願に賛成の立場で討論いたします。

請願でも指摘されているように、約2年前からの呼吸器内科に始まり、血液内科、糖尿病・内分泌代謝内科、リウマチ・膠原病内科、皮膚科の5科の常勤医師が不在となったままであり、そのために新規患者の受け入れが中止され、いわばアルバイトである登録医が担う関係か、少なからぬ従来患者も転院を余儀なくされています。当然、救急医療にも影響がでています。

また、他の科からも退職が増加し、令和2年時に在職していた211人の医師は現在158人と、53人も大幅に減少しており、さらに離職医師が増加する傾向にあると聞いております。また、看護師の不足も深刻で2年前と比較して約80人も減少しており、医療サポートにも影響しています。

八千代医療センターは新宿本院の指揮下にあり、問題の解決には本院理事長との協議が欠かせません。ゆえに、私も服部市長が市政のトップとして、本院理事長に交渉する旨を重ねて議会質問で服部市長に要望してきました。

その甲斐あってか、服部市長はようやく重い腰をあげて去る10月27日に本院理事長と面談しました。その点は一定の評価をしたいと思いますが、問題はその内容です。

市の説明によれば、理事長から「休止している診療科については総合内科的な受け入れ態勢を整備するとともに、専門科の診療は特定の診療日を設定し、新規外来の受け入れを再開できるように考えていくとの提案があったこと。

また、医師の補充については、新宿の本院、足立医療センターとの応援体制の活用を検討する旨の提案とともに,給与面における手当等の上乗せを検討する必要があるため、費用の一部について、本市からの支援をお願いしたいという申し出があったとのこと。この提案を受けて、服部市長は検討すると答えたとのことでした。

しかし、この提案は、まったくもって、おかしな話であります。そもそも、医師を募集しても応募はないことは女子医大の責任です。やむなく現職医師を医療センターへ曜日ごとにせよ派遣するにしても、毎年黒字決算の女子医大に財政的余裕がないとは思えません。まさに、営利主義で有名な本院理事長ゆえの発想であるといえます。また、総合内科という名目の実質上の統廃合も診療体制の縮小化に他なりません。

服部市長は、問題の責任の所在を明確にして、女子医大の主体的努力による問題の改善と解決を強く求めるべきであります。

このように、一連の問題は、まだ話し合いのテーブルについたにすぎず、現状はまったく変わっていません。ゆえに、より一層の努力を服部市長に求めるべきであり、本請願に賛成して、服部市長を後押しすることは議会の責務であると考えます。

本請願にある、①八千代医療センター院長と抜本的解決に向けて交渉すること。②対等の立場で議題設定や協議をする本来の協議会にすべく協定の見直しを行うこと。は、まさに願意妥当であります。

いま、患者、市民は本当に困っています。市民の命と健康を守るために議会の総意で本請願を採択されることを訴えて賛成討論といたします。